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提供者さんインタビュー

Vol. 10

島崎たか子さん
Vol.10:島崎たか子さん

国立病院に勤める看護師・島崎たか子(しまざきたかこ)さん(29歳)も骨髄提供を経験したひとり。病院関係者だから提供まではスムーズに、と思いきや、提供断念!? という事態に陥りかけたのだとか。「私というドナー候補者がいることで、ご家族でもHLA型が合わなかった患者さんの希望になれたのだから、ぜったい提供したかったんです」と、ご自身の経験を語ってくれました。

ドナー登録のきっかけは?

高校生の頃から献血によく協力していたので、献血のついでにできるボランティアというつもりで気軽に登録しました。そのときはまだ病院付属の看護大学の学生でした。ちょうと隣の病院が登録受付所で、登録は授業の合間にササッと済ませられたんです。献血と同じで、なにか社会に役立つことをしたいなという気持ちから登録しただけで、特にこれといったきっかけはありません。

提供に関して一番印象深い出来事は?

家族の反対はなかったんですが、職場でドナーになるために仕事を休みたいと相談したら、快く送り出してもらえなかったことです。「職場の対応に苦労した」という話は、バンクニュースなどで知ってはいましたが、まさか自分の身に降りかかるとは思ってもいなかったんです。コーディネーターさんに事情を話したら、「無理せずに(提供ことを)断ってもいいんですよ」と言ってくださったんですが、私はせっかくのご縁だったし、なるべく提供したかったので、こちらの事情を、移植を待つ患者さんの主治医に伝えてもらったんです。そうしたら「今、比較的病状が安定しているので移植の時期を延ばすことも可能です」という返事がかえってきて、最初の予定から約2カ月遅れで提供することができました。

医療関係者でも、骨髄移植に対する理解がないことがあるのですね。

私自身も、ショックというか悔しいという気持ちでいっぱいでした。でも勤務先で、骨髄バンクのドナーになることは私が初めてだったので、理解がないというよりは、対応の仕方がわからなかったのでは、と今では思っています。多くの患者さんに毎日接している職場でもこうなんですから、一般の職場ではさぞ...、とあらためて提供したドナーの方々の大変さがわかった気がしました。

提供の手術や全身麻酔に不安はありませんでしたか?

全身麻酔は、麻酔にかかった状態の患者さんを毎日見ているので、特に不安はなかったです。ただ手術後の注射跡の痛みや、麻酔のために着ける尿道カテーテルの違和感は結構気になりました。健康な私でさえ不快なのだから、治療を受けている患者さんはもっとつらいだろうなとも思いました。

実際に提供してみて、どんなことを感じました?

私は気軽に登録したんですが、やはり登録はよく考えてしたほうがいいなということです。というのも、私は提供前に、提供手術のことをあまり深く考えてなくて、実際の苦痛や不快感に戸惑ってしまった部分があるんです。私は、提供を後悔する気持ちは全然ないですが、人によっては「見ず知らずの人のためにこんなことまでするの?」というふうに感じるかも知れない。「こんなに大変なら、もう二度としない」なんてふうになってしまうのは残念だと思うので、手術にはそれなりの苦痛が伴うことをきちんと理解して登録したほうがいいと思います。

現在、大学院で「死生学(死を人間らしく受容する可能性を探究する学問)」を学ばれているそうですが、骨髄ドナーを経験した影響ですか?

それもありますが、直接の理由はやはり仕事です。手術室という、患者さんと直接コミニケーションをする機会が少ない中で私らしいどのような看護ができるか振り返ってみたいと思いました。6年間働いていますが、まだまだ足りない部分があるんじゃないかと思って、もっと勉強したくなったんです。

また、看護学生時代からの疑問だったんですが、日本にはどうしてドネーション(献血や臓器提供を含む贈与)が根付かないのかをちゃんと考えてみたくて。日本社会でドナーという行為がもっと当たり前のことになるためにはどうしたらいいのか、自分なりの答えを出せたら、と思っています。誰かのために役立つことはドナー自身の成長の機会でもあることを、私自身が身をもって経験したのですから。

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