Vol.11:上村治美さん
原発性免疫不全症候群という病気とともに成長し、声楽家として活躍している上村治美さん。3年前に骨髄移植の必要性が高くなり、一昨年からその準備のための入院治療を開始したため、今は音楽活動を中断している。
原発性免疫不全症候群は、細菌やウィルスなどの病原体から身を守る免疫の働きが、生まれつき、うまく働かない病気です。専門医がほとんど小児科医のため、治療施設が限られています。国の特定疾患に指定される珍しい病気で、専門医や病院が限られてしまうため、1年半前から治療のために、住まいを東京から宮崎に移しました。
骨髄バンク=白血病というイメージが強いかもしれませんが、白血病以外の病気でも骨髄移植が有効な病気はいろいろあって、ある種のガンや代謝障害など、いろんな患者さんの命を救っている組織なんですよ。私の病気もそのひとつ。病気の型によっては、骨髄移植を選択する患者さんもいます。私の場合は、年齢によって免疫不全が徐々に進んでしまい、3年前に骨髄移植をしないと生きられないということが分かりました。骨髄バンクへの患者登録は今の治療を終えてからなんですが、私も骨髄移植を必要とする者のひとりです。
周りのみんなの協力で骨髄バンクのお手伝い
今受けているのは、骨髄移植を受けられるようになるための治療。すでに感染しているウィルスをやっつけ、新しい感染を防ぐために、無菌状態に近い個室に入院して点滴治療を受けるんです。普段は、治療スタッフなど限られた人としか会わない「逆隔離」生活です。
今回は、胸に点滴の挿入口を作る手術のための上京で、やはり病院に入院しています。ですが偶然にも、骨髄バンクを支援するホセ・カレーラスさんのリサイタルと日程が重なっていたので、治療スタッフに無理をお願いして、今日だけ骨髄バンクのお手伝いを許可してもらいました。ホセは尊敬する音楽家であり、自家移植という方法の骨髄移植で白血病から生還した人。その人の歌を聴くことは、私にとってなによりの励ましです。また東京で親しかったボランティア仲間と会える貴重なチャンスなので、参加を許可してもらって嬉しいというか、本当に病院スタッフに感謝しています。
今日のような骨髄バンクのお手伝いは、実は自分がお世話になるとは思わずに続けてきました。きっかけになったのは8年前、私と同じ病気で、骨髄移植のために上京してきたお子さんそのお母さんに出会ったことです。

